ドイツで今年のキュアーを見てきました。2日間で全43曲、しかも重なっていたのは「One Hundred Years」「Bloodflowers」「A Forest」だけとまったく趣の違うライブが見られて、極楽とはこの事です。その幸せなキュアー体験をレポートします。

Zillo FestivalはGoth Festivalと名前を替えた方がいいな。何せ観客の9割は真っ黒な衣装に身を包んだGothな方々ばかり。98年に行った時より増えていた。本当にドイツってGothが好きなお国柄なんですね。The Cureがお人気なのもうなずけます。殆どの観客はキュアー目当てだから、ロバートヘアにした男性ファンもざくざくいるんだけど、皆さんいやにポチャポチャしていてファン歴の長さを物語ってます。逆に女性は一様にスリムなんですよねぇ〜。

コンサート当日、雨は降る風は吹き付ける何と霧まで立ちこめてしまう最悪のお天気。キュアー向きとも言えるけど、いかんせん気温も低くて殆ど秋から冬に近いくらい寒い。キュアーがステージに登場する頃には、もう身体が芯から冷えてました。しかし、遠く日本からやってきてひよっている場合じゃないと、１番前をゲット。スケジュールでは午後11時〜1時となってましたが、悪天候の中凍えている観客を見かねたのか、30分ほど早い午後10時半にメンバーがステージに登場。

この夜の彼らは最高！なんと言っても選曲が涙もの。だって1曲目が「Plain Song」なんですもの。今までの経験からこの曲で始まったステージではずれは全くなし。96年のマンチェと言い、すべてワンダフルなんですよぉ〜。で、2曲目が「Figurehead」でしょ。泣いてしまいますよね。３曲目が「Deep Green Sea」だったのはちょっとびっくりしたけど、それも良し。これはあくまで私の憶測ですが、以前も書いた様にキュアーの場合プロのカメラマン達がステージ下で写真を撮れるのは3曲目までなんですよね。で、誰かが「でもおいらはGreen Seaでの君たちを撮りたいんだよ」ってロバートに直訴したのかも…

この3曲を聴いた時点で、これはスゴイぞ、今夜は特別なものになるぞと確信する。だって次に何が演奏されるか全く予測不可能なんだもの。何というスリル感！最近ライブずれしていて、これが来たら次はこの曲だろ〜なってある程度わかる様になっていたので、また新しい世界に連れて行かれた様な…これだからキュアーってあなどれないんですよね。奥が深いです。

さてさて、その後の展開は…「The Drowning Man」「Torture」この2曲もびっくり。「Push」や「The Kiss」で観客の熱気は頂点に。「ちょっとムードを変えるね」ってロバートが言って「If Only Tonight We Could Sleep」「Pictures of You」でクールダウンするものの、また「Shake Dog Shake」で盛り上がり、ドイツではすごく人気がある「Siamese Twins」等々、次から次へと圧倒的なカッコよさでプレイされていくんだもん。まるでおもちゃ箱をひっくり返して、取り出してきたみたいでしょ。しかも個人的に大好きな曲ばかり。ヨーロッパのキュアー友達は遂に「Pornography」をライブで聴けたと感激していた。メインセットの締め「Disintegration」はアレンジが変わっていて、最初の音では気づかなかった。かなりゆっくりめなので、勝手にジェイソン・ヴァージョンと銘々し、小さな声でボリスと呟いてみる。あのスピード感は彼でないと出せないのね。まぁ新しい曲として生まれ変わったと思えばいいさ。

アンコールで「Charlotte Sometimes」が演奏された時もとっても嬉しかったです。忘れられたと思っていた曲が目の前でよみがるって感じかしら。最後の曲はまたまたエモーショナルな「Faith」。ロバートは「あした会おうね」と言ってステージを降りたのでした。そう、ロバートさんは知っている 、この夜の観客の殆どが明日遠く離れた旧東ドイツの町までキュアーを求めて移動する事を…

写真撮影：No.127 Kyoko